真夜中のサイコパス
四時間目、英語の授業中、木村菜々子が神谷先生に指されて立ち上がり、教科書の指定された場所を読み始めた。


木村菜々子は成績優秀なだけあって、英語の発音がとてもキレイだ。


かわいくて、成績が良くて、クラスの人気者の木村菜々子は、本当に完璧で、どんなに努力してみても、私が彼女のようになることは不可能だと思えてくる。


そして、そんな木村菜々子が拓実から好かれていることを思うと、木村菜々子なんていなければいいのにと思ってしまう。


だって拓実の彼女になれるのは、女子の中で一人だけだ。


つまり、拓実が選ぶ女子のナンバー1にならないと、たった一つしかない指定席には座れない。


だから、2番目に拓実に好かれていたとしても、それは拓実が無関心なその他の女子と少しも変わらない。


それが恋愛のルールだと私は思う。


私は女子から見ても完璧過ぎる木村菜々子を見ていると、心の底から嫉妬心が沸いてくる。


あんな奴、この学校からいなくなればいいのに。


そしたら、拓実のとなりの指定席が私のものになるかもしれないのに。


木村菜々子が私には邪魔なのだ。


もしも木村菜々子さえいなければ……。


私がそんなことを思っていたとき、シャーペンを握りしめていた私の右手が勝手に動き出し、ノートに文字を書き始めていた。


私は突然のその出来事にドキドキしながら、ノートに書かれている文字を読んでいた。
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