真夜中のサイコパス
「ねぇ、咲良、知ってる?」


「知ってるって……、なに?」


「昨日の夜、優子が通り魔に襲われたんだって。

それで優子が重傷だって」


私は麻衣の話を聞きながら、身体中から血の気が引いていた。


友達が通り魔に襲われる確率って、限りなくゼロに近いと思う。


それなのに、優子が通り魔に襲われたのは偶然なの?


優子を襲った犯人は誰だろうと思ったとき、私の頭に思い浮かぶ答えは一つだった。


(優子を傷つけた犯人って、もしかしたら私かもしれない……。

私には昨日の記憶がないから。

私は浜中美澄に体を乗っ取られた?

それで私は……)


私は目眩がして、目の前の光景がぐにゃぐにゃに曲がって見えた。


優子は今、どれほどのケガを負っているのだろう?


その不安が私の心の重しとなって、ずっしりとのしかかっていた。
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