真夜中のサイコパス
確かにあのときの私は恋を成就させるために必死だった。


クラスのアイドルでいつもキラキラ輝いている魅力溢れる須藤拓実と、地味で目立たずなんの魅力も感じない平凡な私。


そんな二人が恋に落ちるなんて本当に夢物語だ。


特別な奇跡や魔法や呪いでもない限り、起こり得ない幻だ。


それなのに、私は毎日毎日、その幻を追いかけていた。


その幻がいつか現実になるという夢物語を信じて。


そのために、多少のズルをしても構わないって思っていたし、誰かを傷つけても構わないって思っていた。


だけど、今起きていることは私が望んでいた未来とは全然違う。


誰かの未来をめちゃくちゃにしてまで叶えたい夢なんて、私にはないのだ。


親友の優子を傷つけてしまった後悔が私の心に溢れている。


きっと私は罰を受けるべきなのだ。


親友の優子を傷つけてしまった罰を……。
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