キミを倒すにはHPが足りてない。
「………………君、今来たの?」
背後から声をかけられ、振り返る。
もしかして、私以外にも今日が登校初日だと間違えた人がいたなんて……!
「…………っ、は、春都くん!!」
「みんな体育館だよ。今、始業式中なんだ」
振り返った先にいたのは、私が片思いしているお相手橘春都くんがいた。
春都くんは教卓の方に来て、何やらゴソゴソと漁っている。
「もしかして、サボり中?それなら俺はもう行くけど………」
「ち、違う!!寝坊して遅刻したの!!わ、私も行く!!」
「そう。それじゃ、行こうか」
ま、まさか春都くんと朝から会話できるなんて……!
去年1年間、見てるだけしか出来なかった春都くんが、今私の横を歩いている。
ドキドキして心臓がもげそう。
こういうの、何て言うんだっけ?
遅起きは三回の徳?
ということは、あと二回はいいことがあるのかな?
まぁ、春都くんとお話しして隣を歩けてる今以上に嬉しいことなんてないんだけど……。