キミを倒すにはHPが足りてない。
「………君、裏から入らなくていいの?」



体育館の前まで来て、扉を開ける手を止めた春都くん。



「え?なんで?」

「いや………」

「どうせなら一緒に入ろうよ!!春都くんも仲間でしょ?」



私の言葉に彼はクスッと笑って、その笑顔がかっこいいの何の。

朝からこんなに春都くんの近くで話して、彼を見れて、何で幸せなんだろう。



「それじゃあ、開けるね」



まるで王子様にエスコートされてるみたい。


姫、どうぞお先にお入りください、とか言われちゃってね。

きゃっ。

ドキドキしちゃうっ。



ガラガラガラッといかにも重たそうな扉が開く音がして、それから、私の視界いっぱいに全校生徒の顔が映る。



みんなが見ている。

私と、春都くんを。




「コラ!!!小鳥遊!!!お前遅刻のくせに何堂々と正面から入ってきてるんだ!!!」





去年の担任、岡田先生の怒号が飛んできて、私は我に帰る。



「それになんだ!!そのだらしない服装は!!!新学期になって気が緩みすぎだぞ
!!!」



あぁ、先生やめて。

みんなが見てる。


後輩も先輩も同級生もみんな。

それに隣には春都くんがいるの。



春都くんの前でそんな恥ずかしいこと……。
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