エリート御曹司は淫らな執愛を容赦しない~初夜に繋がる結婚事情~
「足りますか?」
「これ以上、食べさせないで。太るわ」
「愛菜さんはどんな体型でも美しいですよ」

食事も終盤、私たちはワインを楽しみながら、軽口をまじえて話す。ほとんどは仕事の話だけれど、以前よりお互いにリラックスしているのを感じる。

「あのね、今度母親がうちにも来いって」
「ありがたいですね」
「週末よ。いいの? 休みの日だけど」
「僕は休みの日も愛菜さんといたいですから」

にっこりと当たり前のように言われても、恥ずかしいんだけど。というか、最近は休日返上で仕事をしていることも多い。だからほぼ毎日顔を合わせている。さらに仕事の後も、こんなふうに一緒だし。
これって、もうほぼ婚約者というか恋人というか……。ムズムズしてしまって言葉にできない。

「じゃあ、土曜ね。午後、私は出社する予定だから、迎えに行きます」
「僕も出社しますよ。まとめたい資料があるので」

優雅は私のグラスにワインを注ぎ、顔を覗き込んでくる。

優雅と婚約してもいいということを、私は遠回しに父親に伝えてある。
『別に嫌じゃない』とか『会社のために私は身を固めた方がいいんでしょう』とか、はっきりしない言い方ではあるけれど、意志表示している。
正直、婚約OKと言葉にするのは、恥ずかしい。嫌だ、保留だとあんなに騒いでおいて、一緒にいるうちにほだされてしまうだなんて。
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