契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


 帰ってきた……!

 慌てて手にしていた植物を元の位置に戻し、キッチンを出ていく。

 玄関へと向かうために廊下を出たところで、入ってきた桐生さんと鉢合わせた。


「あ……お帰り、なさい」


 桐生さんは突然現れた私に一瞬驚いたように目を大きくしたものの、「ただいま」と初めて出迎えられたとは思えないような落ち着いた反応を見せた。

 仕事から帰宅した桐生さんの格好は、カーキのロング丈のTシャツをレイヤードしたものに、細見のブラックデニムというカジュアルな恰好だった。

 乗務では制服を着用するから、通勤服は自由なのかもしれない。


「お疲れ様でした」


 そう声をかけながら、ひとりでに鼓動が高鳴っていくのを感じる。

 久しぶりなせいなのかもしれないけれど、改めて目の前で桐生さんと顔を合わせると緊張してしまう。

 眉目秀麗で涼し気な表情は、何もなくても目が合うだけでどきりとさせられるから困る。


「お疲れ様。なんか、久しぶりな感じがするな」


 桐生さんのほうも私と会うことが久しぶりに感じたらしい。

 メッセージアプリでのやり取りはしていたけれど、こうして顔を合わせるのはあの契約を交わした十日前のことだ。

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