契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
「あ。やっぱりそうなんだ。すでに一線は越えてるんだ?」
「い、一線て、越えてないし。そんなわけないじゃん」
慌てて否定。
私の妙な様子で、亜紗美は大きく勘違いした模様。
一線だなんて、とんでもない!
「えー、うそ。本当に? 意外とそこら辺お堅いの?」
「いや、ほんと亜紗美が思ってるような感じではないんだよ。私たちの関係はビジネス、なんだから」
「ビジネス、ねー……なんか難しいけど、私だったら気持ち入ってきちゃいそうだな」
ポットから紅茶を注ぎ、その脇に置いてある砂糖の塊をカップに入れながら亜紗美は言う。
「気持ち?」
「うん。はじめはそういう事務的な関係でも、一応結婚なわけじゃん? 一緒にいるうちに、情じゃないけどお互いのことが好きになっていったりさ」
「うーん……」
それは、今のところなさそうだ。
七央さんは優しい人だと思うけど、それは私に特別な感情があるからではなく、生活を上手く送るためという目的があるから。
私の方だって、七央さんに対して特別な感情を持ち合わせていない。
もし今回の契約なんて関係がなかったら、七央さんのような完璧な男性とお近づきになることなんて私には有り得なかった。
恐れ多いし、いろいろな意味で身が持たない。
何事も、分相応というのが一番だと思っている。