契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
「今から実家に向かう」
「え、七央さんのご実家に?」
「母親が佑華を招待したいって」
てっきり、どこか外のレストランかなにかで顔を合わせるとばかり思っていた。
七央さんの実家を訪問するなんて思ってもみない。
これは更なる緊張を強いられる予感しかしない。
膝の上に置いた紙袋の中をちらりと覗き、小さく息をつく。
さっき亜紗美とアフタヌーンティーをしたホテルのティールームで、焼き菓子の詰め合わせを買っておいたのだ。
初対面の挨拶としてご両親に渡そうと思って一応買ったものが、実家を訪問するという展開で絶対的に必要なアイテムになった。
今日の自分はなかなか冴えていると心の中で褒めてあげる。
「なんか、緊張しますね」
静かな車内でぽつりとそう言うと、七央さんは運転席でフッと笑った。
「大丈夫。いつも通りに振る舞ってくれれば、何も問題はない」
「いつも通り、ですか……。でも、ご両親、七央さんにお見合いをしてまで結婚してほしいと思っていたんですよね? 結婚に対してお厳しいのでは……」
亜紗美の脅しじゃないけど、品定めはやっぱりされると思う。
今まで、付き合った人の親に会ったという経験はない。
それを飛び越えて結婚相手のご両親に会うということになるなんて、チュートリアルもぶっ飛ばしていきなりラスボスを目の前にするようなものだ。
心していかないとあっという間にゲームオーバーだ。