契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
「俺は佑華に不足はないと思ってる」
「本当ですか……?」
「自信をもって結婚相手だと紹介する気でいるから」
〝契約〟結婚だということを一瞬忘れ、七央さんの言葉に鼓動が跳ねる。
七央さんにとってみれば、今日はご両親に自分が結婚をして落ち着いたことをアピールする大事な日なわけだ。
今日を成功させてご両親に安心してもらえば、七央さんのこの契約結婚の目的は果たされる。
契約をしたからには私にだってミスは許されない。
実は契約結婚だということを隠して挨拶に伺うと思うと、明らかにご両親を七央さんと共に騙す共犯者なわけで、そこはやっぱり心苦しいけれど……。
高速に乗って向かった七央さんのご実家は、東京に隣接する千葉県の住宅地にあった。
予想はしていたけれど、すごく立派な二階建ての持ち家。
庭も広く、ガレージには高級車が二台停められていた。
「じゃあ、よろしく」
いよいよ玄関を前にして、七央さんがそっと私の背に触れる。
それが無言の〝健闘を祈る〟みたいなものに感じて、小さく頷いた。
「……はい。よろしくお願いします」
お父様は七央さんの会社で同じく現役パイロットだと聞いている。
そんなお父様を支えてきたお母様はどんな方だろう?
仲のいいご夫婦みたいだけど、お父様と同じく七央さんがパイロットを目指したあたり、厳しい部分もあったのだろうかと想像する。