契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
「佑華」
振り向かせるように腕を引かれて体が反転すると、目の前に現れたスーツの姿に息が詰まった。
「七央、さん」
私を見下ろす七央さんは、確認でもするようにじっと私の顔を見つめる。
そしてホッとしたように小さく息をつき、「良かった」と呟いた。
「七央さん、どうして……もう、帰っちゃったかと……」
「破水した女性に付き添って、救急車に乗ったって聞いた」
「え……もしかして、美鈴さんから?」
小さく頷いた七央さんは口元に薄っすら笑みを浮かべる。
「帰るわけないだろ」
そう言って掴んだままの腕を引いて私を正面から抱き締めた。
背中と後頭部を包んだ大きな手に、鼓動の高鳴りは増していく。
「七央さん」「佑華」
同時にお互いを呼んでしまい、七央さんが私の耳元でクスッと笑う。
「佑華からどうぞ」
「いえ、七央さんからどうぞ」
密着したまま譲り合い、「じゃあ、先に言う」と七央さんが口を開いた。