契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


「本当は、ゆっくり食事でもしながら話そうと思ってたけど……契約結婚を解消したいというのは、受け入れてもいい」


 抱き締めた腕を緩め、体を離した七央さんと向き合っても、どうしても顔を上げられない。

 別れの時が刻一刻と迫っていると実感すると、これまでのことが頭の中で順番に再生されていくようだった。


「でも、佑華。俺はお前が好きだ」

「っ……?」

「気付いたら、いつも考えてる。いつの間にか、気持ちを募らせてた」


 思わぬ言葉に息を呑む。

 見上げた七央さんは私を真っすぐ見下ろし、瞳の奥までを覗くようにじっと見つめてくる。


「だから、離したくない。これからもずっと、そばにいてほしい」


 視界が潤みを増し、揺れる。

 あっという間に目頭から溢れ出し、七央さんの親指が拭ってくれた。


「私……最後に、伝えようと思って、今日ここに来たんです。七央さんのことが、好きだって、それだけは伝えようと思って」

「何、最後って」

「だって……七央さんには、美鈴さんが──」


 最後まで聞かず、七央さんの腕がまた私を抱き締める。

 それ以上は言わせないと言わんばかりに腕の力が強まって、「七央さん?」と呼びかけるので精一杯だった。

< 241 / 246 >

この作品をシェア

pagetop