契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


 少し前に去っていった初老の男性が木箱を手にテーブルへと戻ってくる。

 コレクションケースのように中が仕切られたその中には、様々な茶葉のサンプルが入っていて、そこからスイーツといただく紅茶を選択する。

 桐生さんは初老の男性から紅茶の説明を受けると、私に「宇佐美さん、どれにします?」と訊いてくれた。

 私は特に迷わずいつもオーダーするアールグレイをお願いする。

 桐生さんはダージリンを選んでいた。


 さて、ひと通りオーダーも済み、ひと段落……。

 どんなタイミングで本題を切り出してくるのかと思うと身構える。


「ここにひとりで通うくらいなら、お休みの日はやっぱりスイーツを食べに?」

「はい、そうですね。行きたいところが多くて、休みが足りない感じなんですけど」


 新しくできた話題のお店に、ホテルのスイーツブッフェ。一つのお店でも、季節ごとにメニューが変わるからお気に入りの場所は定期的にチェックをしている。

 限られた自分の休みで行く場所を厳選して出かけている感じだ。


「そっか。これもひとつの趣味みたいなもんか。他には?」

「他……家で、自分で作ったりもします、お菓子」

「へぇ、自分でも。それはすごい。食べてみたいな」


 注文していた紅茶がそれぞれ真っ白なティーポットに入って運ばれてくる。

 一杯目は、スタッフがティーカップに注いでくれるのがこのお店でのスタイル。

 縁に花の模様が入った白いカップの中には、半分の高さまで琥珀色が注がれていく。

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