契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
「すみません……あんな状態からの出産だったので、気になっていたもので。でも、教えていただけて良かったです。ありがとうございます」
「いえ。でも、本当に良かったです。俺も、これまでフライト中に陣痛っていうのは初めてで。話が入ってきた時は、内心焦りました」
冷静沈着そうで、何事にも動じなそうに見える桐生さんがそんな風に言うなんて意外だ。
空港でわざわざ挨拶に来てくれた時の様子を思い返してみても、表面上には焦りも疲労感も全く何も現れていなかった。
「そうでしたか……。飛行機に乗っていいかは、通常担当医の許可を取るもので、彼女も相談の上だったようですが、ある程度の週数なら赤ちゃんが出たいとなれば陣痛はくるものですから、自然なことと言えば自然なことなので」
「その礼状に書いてありました。実家のほうで親戚に不幸があり、どうしても帰らなくてはいけなかったと」
「そうだったんですね……そんな事情なら、仕方なかったかも」
「でも、よく名乗り出てくれました。躊躇しませんでしたか?」
フォークに赤肉メロンをのせた桐生さんは、それを上品に口に運ぶ。
「それが……自分でもびっくりするくらい無意識で。気付いたらそこに駆けつけていた感じで……」