契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました
頭でどうしようかと考える前に、体のほうが先に動いていた。
あの時も思ったけど、冷静になって考えてみるとかなりハイリスクな行動だ。
「それは、自分の仕事に誇りを持って従事している証拠だと思いますよ」
「いや、そんなかっこいいものでは……」
「いえ、誰でもできることではないと思いますから。お仕事は、大学病院にお務めだと耳にしましたが、夜勤なんかも?」
話の流れから、会話は自然と仕事のことになる。
やたら褒められて恥ずかしくなり、誤魔化すようにプレートの上に落としていた視線を上げると、ティーカップを片手にこっちを見つめていた桐生さんと視線が重なった。
切れ長の目に真っすぐに見られると、不覚にもドキッとしてしまう。
「そう、ですね……。日勤と夜勤と、シフト制で」
「不規則で大変ですね。日勤から夜勤に切り替わる時とか」
「もうずっとこの生活なので、慣れましたけど、はじめの頃はなかなか体がついていかないこともありました」
助産師を目指した時点で、昼夜問わない仕事だということはわかっていた。
仕事を始めたばかりの頃は、慣れない環境と覚えることが山積み、その上夜勤という勤務があることでへろへろになっている時期もあった。
だけど今は、そんな毎日が充実していると感じる。