契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


「私のはいいのに。佑杏と成海先生とで食べればいいじゃん」

「あんなたくさん食べきらないよ。食べていきなよ、もう入らないの?」

「いや、大丈夫。甘いものは別腹だから」

「だよね。訊くまでもないね」


 キッチンでは、佑杏の旦那様、成海先生が紅茶を淹れているのが見える。

 呼吸器外科の専門医として忙しい日々を送っている中、プライベートではいつ見ても家族を大事に、一緒に過ごす時間を大切にしている。

 さっきも、佑杏とふたり楽しそうにキッチンで料理をしているのが見えて、仲のいい夫婦でいいなぁと羨ましく思った。

 何より、佑杏が幸せそうな顔をしているのを見られるのが私は嬉しい。


「ねぇ、今日ずっと聞こうと思ってたんだけど、やっと聞いてもいい?」

「え? うん、何?」

「何じゃないよ、例の食事会はどうだったの?」


 佑杏が切り出したタイミングで成海先生が紅茶を持ってやって来て、心の中で「ゔ……」と喉が詰まる。

 そんな私の様子に気付くこともなく、佑杏は「あのスカート、穿いて行った?」なんて楽し気に訊く。


 なんでこのタイミングでその話を出すの!

 心の中で真横の佑杏にツッコむ。姉妹なんだから、私の心の声が聞こえるでしょー!

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