契約結婚ですが、極上パイロットの溺愛が始まりました


「おっ、なんか俺がいたら佑華さんが話しづらそうな話が始まる?」


 なぜか成海先生がこの雰囲気を察してくれて、紅茶を並べると、私へと両手を差し出し杏莉を預かるというポーズを取る。


「あ……いえ、そんなことは」


 杏莉は「パパー!」と成海先生に抱っこされ、嬉しそうに首元にしがみついた。


「よし杏莉、パパと向こうで遊んで、お風呂も一緒に入ってくるか」


 成海先生が杏莉にそんなことを提案すると、すかさず佑杏が「え、晴斗さん」と腰を浮かせる。


「ひとりで大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だよ。たまには姉妹でじっくり話し込みたいだろ」


 普段は杏莉をみながらだから、会話は途切れ途切れになるのが当たり前。

 そんなことも知っていて、成海先生は気遣ってくれているのだろう。

 夫としても父親としても本当にできた男性だ。


「はい、杏莉、佑華さんとママにバイバーイは」


 成海先生に促されて、杏莉が「バイバーイ」とぶんぶんと手を振り可愛いバイバイをする

 私と佑杏の「すみません」を背中に受けて、杏莉を抱いた成海先生は奥へと去っていった。

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