破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】

　真剣な瞳のまま、ノアはそっと微笑む。

「アーシェ、ボクね、騎士団のお手伝いをすることにしたんだ」

「騎士になるってこと？」

「いずれはなれたらいいなって思うけど、まずは見習いとしてボクの力を騎士団に役立ててもらう方向で話が進んでるよ」

「いつの間に⁉」

「アーシェとザックが陛下に謁見している間に、エヴァンとね」

　言われてみれば、城に滞在するようになってからノアと別行動する時間が増えていた。

　お城を満喫して過ごすと話していたけれど、どうやらその間に自分の道を決めていたらしい。

「そうだったのね」

　旅が終われば、ノアはシュタイルに帰るのだろうと漠然と考えていただけに意外だった。

　まだ低い位置にある月が照らすノアの柔らかな髪が、風に靡く。

「ボク、男としてアーシェの事が好きだよ」

　穏やかな声で告げられた告白に、アーシェリアスは瞳を揺らした。

「初めて会った日から、変わり者のボクのことを笑顔で受け入れてくれた君が好き」

　想いを打ち明けるノアの頬はほんのりと赤い。

「前向きで、笑顔が魅力的で、アーシェが作るご飯みたいに温かくて元気にしてくれるアーシェが大好きなんだ」

　言葉を通して伝わってくるノアの想いこそ、温かさに溢れていて、アーシェリアスの心にじんと染みる。