破滅エンドまっしぐらの悪役令嬢に転生したので、おいしいご飯を作って暮らします ②【11/25コミカライズ完結記念番外編追加】
 王立騎士を従えることができる者は限られている。

 王族か、王立騎士団の幹部か、あるいは宰相か国政に関わる大臣たちか。

「そんな身分のモンが女を買うなんて経験はねぇ。だから、買われることは万にひとつもねぇから諦めな」

「わかりました……」

 とりあえずある程度は絞れた。

 あとは目ぼしい人に尋ねていくしかないが、盗賊から盗品を買ったとなれば簡単には話してもらえないだろう。

 そこが問題ではあるが、ひとまずはここにいる理由はなくなった。

 ここからは脱出に向けて動かなければならない。

(ザックとノアがいる牢に戻って相談しないと)

 その前に脱出ルートを下見したいところだが……と、ウロウロできる方法を考えていたら。

「──ただ、この飯は確かに美味い。昔、母ちゃんが作った飯を思い出すっつーか、なんか温っけぇ。だから、特徴を教えてやる。会える確率は低いだろうが……知りたいだろ?」

 皿に残ったスープをスプーンでかき集めながら、頭領が肩眉を上げて笑んだ。

「頭領さん! ありがとうございます!」

「お頭かっけぇっス! 俺もお頭みたいな男に……いや、お頭を越えて! 盗賊王に俺はなる!」

 気合を入れるように拳を強く握って誓うティコ。

(どっかで聞いたセリフだけど微妙に違う!)

 脳裏に麦わら帽子のキャラクターを思い浮かべながら、アーシェリアスはハハハと空笑いした。
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