転生悪役令嬢のお目付役
そこからは、当時どのような状況だったのかを質問したのだが、どうにも要領を得ない答えしか聞けず、面会は意味のなさないものとなった。
明確に説明できるわけがない。ジュリアン嬢の中身は、篠崎さんなのだから。俺と同じ、雷に打たれる前のふたりの状況を、知るはずはない。
彼女は間違いなく篠崎さんだった。
髪は本人よりも長くなり、緩く巻かれていたし、いつもしている眼鏡もしていなかった。
それでも肌の白さや、可愛らしい顔立ちは篠崎さんそのものだ。
おとなしい性格のため、篠崎さんが可愛いと知っている人は職場では俺くらいだったのかもしれない。
それが今は可愛さを全面に出し、美しいドレスまで身に纏っていて、目のやり場に困ってしまった。
たいした話を聞けないまま、ジュリアン嬢は帰っていき、王子を心配して集まっていた者たちも、自分の持ち場に戻っていった。