転生悪役令嬢のお目付役

 失敗しちゃったわ。もっと悪役令嬢らしく振る舞わなくちゃ。

 フィリップ王子は、ゲーム上では何度もこちらに笑いかけた。画面越しの麗しの王子。

 見慣れていたはずの姿も現実となって目の前に現れると、感激で直視するのが難しかった。

 プラチナブロンドは王族の証。光を受けると、キラキラと瞬くように煌めく。

 碧眼は清らかに澄んでいて、どんな宝石よりも高貴な輝きを放っていた。キリリとした眉が、麗しい顔立ちに男らしさをプラスする。

 真っ直ぐに通った鼻梁。薄い色気のある唇。なにもかもが完璧で、声が聞けたら卒倒したかもしれない。ゲームは文字だけで進むタイプだったから、声は想像でしかない。

 今からこんな風でどうするのかしら。悪役令嬢らしく、あの手この手でアプローチをかけなければいけないのに。
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