わたしたちの好きなひと
 うーん。
 まぁ、そうよね。
 異世界から降臨した超絶美形秀才の掛居 拓弥(たくみ)がアチラ側にいて、わたしたち凡人の脳ミソがかなうわけがない。
秋子(しゅうこ)ぉ。今夜問題を起こしたら、明日の自由時間、なくなっちゃうよぉ」
「…………」
 なるほど。
 3班にカレシがいるのだね。
 それは切実だ。
 (うーん)
 プーちゃんのおかげで少し休めたから全力で記憶をプレイバック。
 参謀は掛居でも絶対に首謀者は恭太。
 (思いだせ)
 恭太の全部。
 なにをしてた?
 なんて言ってた?
「――――あ」
 そうだよ。
『非常口の場所は、ちゃんとおぼえとかなくちゃな』って恭太が言って。
『そうそう、最短距離をね』って。
「笑ったんだ、掛居が!」
「秋子?」「秋子!」
 わかった。
 任せなさい。
「だれかプーちゃんをお願い。あと、ほかのみんなには、ここから先は騒ぎたてないように伝えて。絶対に明日の自由時間、死守してあげるからね」


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