このせかいに在るがまま
下駄箱で靴を履き替え、傘をさして昇降口を出る。
地面を突き刺すような雨。
歩く先の全てに水たまりができていた。学校を出てまもなく、ローファーから水が染み込んでくる。濡れた靴下の感触がひどく不快だった。
――『半年前、星原のおばあさんが亡くなった』
先ほど、先生に言われた言葉が脳裏をよぎる。
半年前――それは、わたしへのいじめがおさまった直後のこと。おばあさんが亡くなったことをきっかけに、彼の両親ともろもろの事情で険悪になっているみたいだ。
星原くんは両親と離れて暮らしているけれど、もとも両親が希望する高校にはいかず海歩さんが行きたかった高校に入ったことを認めてはいなかったこともあり、おばあさんの死を機に自分たちのもとに戻ってこないかと言って来たらしいのだ。
星原くんがおばあちゃん子で頻繁に会いに行っていることを考慮してこれまでこの街に彼を一人残していたけれど、おばあさんが死んでしまった今、もう残る理由はないのではないか、と言っていたという。