御曹司は懐妊秘書に独占欲を注ぎ込む
あのときも……こんなふうに優しかったな。
視界が涙の膜で覆われていく。それに気づいたからなのかは不明だけれど、明臣さんは私を静かに解放した。
目が合い彼の指が私の目元を滑る。続けて目尻に唇を寄せられ、照れもあり私は即座にうつむいた。
とにかく呼吸を整えないと。心臓もうるさい。神経を集中させていると突然、明臣さんに抱きしめられる。彼の腕の中にとじ込められ、鼓動が伝わってしまいそうだ。
「早希は……」
ふと明臣さんが口を開いた。けれど、しばらく待ってもそこから先が続かない。
「なん、ですか?」
気になって、つい自分から尋ねる。腕の力がゆるんだので、私はおずおずと顔を上げた。すると困惑めいた笑みを浮かべている明臣さんが視界に入る。
「いや、相変わらず早希は可愛らしいと思ったんだ」
「ご、誤魔化さないでください!」
明らかに取り繕われたことくらい私にもわかる。
「誤魔化していない、本心だ」
「そんなこと言って……私は芽衣じゃありませんよ」
譲るつもりはない明臣さんにわざとひねくれた返事をする。完全に芽衣と同じ扱いになっている。とはいえ彼の感情の本質は私と芽衣、どちらに対しても同じなのかも。
芽衣は娘で、私はその母親で――。
「わかっている。早希と芽衣はまったく別次元の話だ」
ところが彼は私の推測をきっぱり否定する。相変わらず真面目と言うべきか。それにしても、明臣さんの言い方はときどきわかりづらい。
じっと彼を見つめていると、明臣さんは当然と言わんばかりに私の顎に手をかけた。
視界が涙の膜で覆われていく。それに気づいたからなのかは不明だけれど、明臣さんは私を静かに解放した。
目が合い彼の指が私の目元を滑る。続けて目尻に唇を寄せられ、照れもあり私は即座にうつむいた。
とにかく呼吸を整えないと。心臓もうるさい。神経を集中させていると突然、明臣さんに抱きしめられる。彼の腕の中にとじ込められ、鼓動が伝わってしまいそうだ。
「早希は……」
ふと明臣さんが口を開いた。けれど、しばらく待ってもそこから先が続かない。
「なん、ですか?」
気になって、つい自分から尋ねる。腕の力がゆるんだので、私はおずおずと顔を上げた。すると困惑めいた笑みを浮かべている明臣さんが視界に入る。
「いや、相変わらず早希は可愛らしいと思ったんだ」
「ご、誤魔化さないでください!」
明らかに取り繕われたことくらい私にもわかる。
「誤魔化していない、本心だ」
「そんなこと言って……私は芽衣じゃありませんよ」
譲るつもりはない明臣さんにわざとひねくれた返事をする。完全に芽衣と同じ扱いになっている。とはいえ彼の感情の本質は私と芽衣、どちらに対しても同じなのかも。
芽衣は娘で、私はその母親で――。
「わかっている。早希と芽衣はまったく別次元の話だ」
ところが彼は私の推測をきっぱり否定する。相変わらず真面目と言うべきか。それにしても、明臣さんの言い方はときどきわかりづらい。
じっと彼を見つめていると、明臣さんは当然と言わんばかりに私の顎に手をかけた。