御曹司は懐妊秘書に独占欲を注ぎ込む
 明臣さんの元に芽衣を連れて行くと、彼は優しく芽衣に声をかけ抱き上げた。一緒に過ごした時間が長かったからか、芽衣は抵抗もせず明臣さんにしがみついて機嫌よくしている。

 面差しが似ているのもあって、どこからどう見ても仲睦まじい親子の図だ。

 ひとりでも芽衣を守っていくと決意していたけれど、やっぱり子どもにとっては愛してくれる人は多いほどいい。ましてや彼は父親なんだから。

 芽衣が落ち着いたので話していた通り、三人でホテル内にあるカフェに出かける。高級感溢れる内装に不安になったりしたが、スタッフは芽衣を見るなりニコニコと声をかけてきた。

 子ども用の椅子や食器、ドリンクメニューまで充実していて、ホテルのターゲットがファミリー層なのもあり、小さい子ども連れでも歓迎される。

 大人用には、コーヒー、紅茶、さらにノンカフェインのものまで取り揃えられていて心弾む。私はノンカフェインのアップルティーを選んだ。

 パティシエお手製のクッキーまでついてきて、味も見栄えも文句ない。こんなふうに外でお茶をするのは久しぶりで、自然と笑顔になった。

 もちろん芽衣がいるので完全にゆっくりはできない。芽衣が飽きてぐずるとすかさず明臣さんが抱っこしてあやしたり、その逆で私が見たりとせわしさもある。

 けれど、芽衣の面倒を見るのも含め、ひとりで全部しなければと気を張らなくていいのは、気持ちがだいぶ違う。
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