御曹司は懐妊秘書に独占欲を注ぎ込む
 最終的に、カフェのサービスで砂糖なしの赤ちゃん用のかぼちゃクッキーをもらい、芽衣は嬉しそうに頬張っていた。

「芽衣も一緒に食べたかったんだな」

「そうかもしれません。周りをよく見ていますから」

 明臣さんと何気ない会話を交わして笑い合う。

 幸せだな。

 芽衣を妊娠して生む決意をしたときには想像もつかなかった未来だ。これを当たり前だと受け入れるんじゃなくて、明臣さんにはちゃんと感謝しないと。

 カフェを満喫し、部屋に戻るのかと思ったら明臣さんは『まだ行きたいところがある』と切り出した。

 なら芽衣を連れて私は先に部屋に戻ろうかと伝えようとして、彼が先手を打つ。

『早希と芽衣と一緒に』

 そうだ、彼は私たちと一緒に過ごすためにこの小旅行を提案したんだ。思い直して一緒に行く旨を返す。

 芽衣の機嫌も悪くはないし、せっかく三人で過ごせる時間だから。明臣さんが用事のあるところはどんなところだろう。

 少しだけ興味が湧いてワクワクしながら彼についていく。しかし連れて行かれたのは、予想外の場所だった。

「まぁー。娘ちゃんとってもお似合いですね」

「元々が美人さんだから。ご両親も素敵ですし」

 本気なのかお世辞なのか――おそらく後者だろう――わからないスタッフたちの黄色い声に私は頭を抱える。

「明臣さん!」

「どうした?」

 私の非難混じりの呼びかけに芽衣を抱っこした状態の彼は何食わぬ顔で返してきた。
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