御曹司は懐妊秘書に独占欲を注ぎ込む
「どうしたじゃありませんよ。これはなんのつもりですか?」

「なにって、服を選んでもらっているんだ」

 それは理解している。けれど元々彼の行きたいところに付き合う予定が、この状況はどう考えてもおかしい。

 だって選んでもらっているのは明臣さんではないのだから。

「奥様もお似合いです! 娘ちゃんと一緒に親子モデルになれますよ!」

「わ、私はもう結構です。娘も疲れてきたみたいですし」

 さっきから知らない人に様々な服を当てられては感想を漏らされている芽衣だが、泣かずにおとなしくいるのは明臣さんに抱っこされているのと、状況に頭がついていっていないからだと思う。

 明臣さんに連れて来られたのは世界的にも人気な女性向けファッションブランドのショップだった。

 彼のものを買うには妙だと感じたが、おとなしく店内に足を踏み入れると、明臣さんはなぜか私と芽衣の服を見繕うように店員に指示を出した。

 最近、親子コーデで売り出しているのもあり、スタッフは目の色を変えてあれこれ商品を持ってくる。

 さすがに芽衣は試着するのが大変なので、正面から服を当てられるだけだが、私はほぼ強制的に試着させられた。

 相手は仕事なのだと思うと、同じ勤め人だった私としては無下にできず、はっきりと拒否できない。

 さらにシンプルでフェミニンさも併せ持ち、ビジネスシーンもプライベートも着回せるデザインは、正直私好みだ。

 とはいえお値段もそれなりにする高級ブランドなので、純粋にショッピングを楽しめる価格帯ではない。
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