メリーバッドエンド
ぐちゃぐちゃに口腔内を掻き乱していくと、部屋に互いの吐息や舌が絡まる音が響く。

普通のキスでも顔を赤くする若菜にとって、舌を絡める大人なキスはもっと慣れないみたいだ。涙が頬を伝って呼吸を整えるのに必死になってる。そんなところも可愛くて、襲いたくなるのを我慢しなきゃいけないけど。

「ど、どうしてこのタイミングでキスなんて……」

若菜が呼吸を整えながら訊ねる。確かに、朝ご飯を食べている途中でキスなんて恋愛ドラマでもそうそうないと思う。デートとかでした方が雰囲気がいいからね。でもーーー。

「若菜が可愛すぎるから、どんな時でもしたくなるんだ」

そう言ってもう一度唇を重ねる。今度は舌は入れない普通のキスだ。チュッ、と優しいリップ音を立てる。

「わ、私そんなに可愛くなんて……」

俺が触れた唇にそっと若菜は手を当てる。若菜は自分の可愛さを自覚してない。だから、ペットショップで働いていた頃は嫉妬でどうにかなりそうだったんだ。こんな子、男からしたら騙しやすくてターゲットにしやすいよ。
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