メリーバッドエンド
「本当に可愛い。これからも俺のそばにいてね?もちろん一生」

俺がそう言うと、若菜は曖昧に微笑んで俺にそっと抱き着いてくる。演技でもここは「わかった」と頷かなきゃいけないのに……。自分の気持ちを隠し切れないところも可愛くてたまらないよ。

でも、俺は若菜の本心を気付いていないフリをしてキスを落とす。だって希望を与えるだけ与えてそれが崩れた時、人は絶望に一気に突き落とされて何もできなくなる。そうすれば若菜の心が手に入るからね。

「圭くんはアメリカに住んでいたんだっけ?」

俺の腕の中で若菜が訊ねる。俺が「そうだよ」と答えると、「アメリカではどんな生活だったの?」と若菜は目を輝かせた。逃げるために信頼を得ようと思っているわけではなさそうだ。興味を持って質問をしてくれている。

「じゃあ、アルバムを持ってきて話そうかな。たくさんいい写真があるんだ」

若菜との新婚旅行の計画を立てたいし、ちょうどいい。俺は若菜を離し、寝室に置いてあるアルバムを取りに向かった。
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