メリーバッドエンド
「すごく可愛いですね〜。毎日こんな可愛い姿を見れるなんて、藤田さんが羨ましいですよ」

「栗花落さんは動物、飼ってないんですか?」

「私、ペット禁止のマンションに住んでいるので残念ながら。でもいつかは、可愛い犬か猫と一緒に暮らしたいです」

藤田さんと話しながらレジ打ちを進めていく。藤田さんの買ったキャットフードにシールを貼り、おやつを袋に入れて、藤田さんにお釣りを返した。

「……栗花落さんの願い、今日で叶いますよ」

ポツリと藤田さんがそう言い、お見送りをしようとした私は「えっ?」と返す。どういうことなのかな……。

でも藤田さんは何もなかったかのように笑ってお店から出て行ったため、何も考えないようにした。それからもお客さんがたくさん来て忙しかったから、藤田さんの言った言葉なんて頭の隅に追いやられていたし。

「お疲れ様です!!」

夜の七時過ぎ、仕事が終わった。私と華ちゃん、そして凪沙さんは話をしながらロッカールームで着替えを済ませ、店を出る。
< 9 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop