今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
「……全部、私の取り越し苦労だったんですね」

ふう、と息をついてしゃがみ込むと、彼は笑って「妊婦さんがそんなポーズをするもんじゃないよ」とベッドへ連れていってくれた。

ふたりベッドの縁に腰かけると、彼は私の後頭部をそっと引き寄せた。

優しいキス。私が嫌がらないことを確認しながら、彼は少しずつ舌を奥深くに差し込んでいく。

久しぶりのキスは驚くほど気持ちがよかった。

これまで感じていた不安の分だけ、彼と触れ合える喜びが増していく。

「んっ……」

ベッドに倒れそうになると、すかさず彼は私の頭の下に手のひらを差し入れて庇ってくれた。

ふたりごろんと横向きに転がり、キスをして、頬に触れ、首筋を撫で、溢れる気持ちを触れ合わせる。

彼の手のひらが私の腰を撫でたとき。

下腹部がずくんと疼き、咄嗟に彼の体に手を突っ張った。これ以上はダメだ。お腹に悪そう……。

「あの……あのですね……あんまりすると」

したくなってしまうかもしれない。でも、安定期に入るまではちょっと危険だ……。

素直に言えずもじもじしていると、察した彼が私の額にキスをしてクスクスと笑った。

「わかってる。今は我慢だね。ああ……早く思いっきり抱きたい」

自分を諫めるように私をぎゅっと抱きしめる。

そんな彼がかわいらしく思えてきて、思わず私まで笑ってしまった。


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