今夜、妊娠したら結婚します~エリート外科医は懐妊婚を所望する~
第六章 宝物をすべて君に
二週間後の日曜日。今度は私のお見合いを断る番だと言って、悠生さんは私の実家に足を運んでくれた。

母はどんな態度を取るか、あまりにもひどいようなら悠生さんを連れて逃げ帰ろうと思っていた私だけれど、意外にも好意的で驚いた。

「ようこそおいでくださいました。お待ちしておりましたのよ」

よそ行きの母の声。客間に通され、出てきたのは高級なお茶とお菓子だった。お気に入りのお客さまにしか出さない一級品である。

どうやら母は結婚を喜んでくれているらしい。事前にお医者さまと伝えておいたのがよかったのだろうか。

「西園寺さんのご実家について、京都にいる友人からもうかがいましたのよ。西園寺グループといえば、関西一と名高い医療法人だとか。立派なお家のお生まれなのね」

悠生さんの実家について、あまり詳しく聞いていなかった私は、心の中でへぇーと相槌を打っていた。

どうやら母は西園寺家について調べたらしい。その結果、納得のいく家柄だったのだろう。

ターゲットを長門さんから悠生さんにあっさり乗り変えたわけだ。

「お褒めに預かり光栄です。まだ当分の間は東京の病院で研鑽を積みたいと思っていますが」

「でも、いつかは関西に帰られるのでしょう? ご実家の病院を継がないと」
< 159 / 275 >

この作品をシェア

pagetop