君に会いたくなったら
チャットの画面がたちあがると、
『明日香、おつかれさま 作業中?』

『おつかれー絶賛作業中だよ』

『ごめんね、おそくなってしまって』

『うん、紗季子なんかあった?こんなにおくれるなんて、今までなかったから心配してた』

『うん、チャットだと手が止まっちゃうだろうから、通話にしていい?今、自宅?』

『ううん、駅前のコワーキングスペースにいるけど今人いないから通話できそう。ちょっとヘッドセットにするから待ってて』

とヘッドセットをつけ、Bluetoothをつなぎ、マイクの位置を調整する。

『お待たせー通話できるよ』

とおくると、すかさずスマホのメッセージアプリの通話の通知がきてクリックする。

「明日香……ほんとにごめんね、日程きついよね、大丈夫?」
と紗季子の心配げな声が聞こえてくる。

「ううん、まあ、先に連絡もらってたし、どうにかなると思う、結構シンプルな作りに落ち着いたんだね」

「そうそう、PC用はそうだけどスマホとタブレットの方がけっこう複雑というか」

「まあ日曜日までには仮アップできるかな。テストサーバに」

「サーバアップしたらテストこっちでもするから教えて?」

「了解!でさ……何があったの?」

「うううんと……修羅場だったの。」

「修羅場??」

「彼の家に行ったら、浮気相手の女がいて……別れる別れないとかいろいろあって、仕事も手につかないくらいぐだぐだになって」

「うん、それで?」

「最後に宮本さんに助けられた」

「とりあえず、ご飯は食べてるよね?寝てるよね?」

「うん、それは大丈夫。宮本さんに厳しく管理されてたから、まるで実家の母のように口うるさく言われてたし」

「とりあえずはよかった。また仕事目処ついたらご飯行こ」

「ああああー仕事中ごめんね。また、連絡するね。ありがとう。それじゃあ」

と、通話を切ってほぉーと一息つく。
(はあ、また宮本さんかあ。)

宮本さん 宮本裕貴 ―― 私の大切だった人。
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