碧色の恋。


家に帰ったあとも、空き教室での光景が頭から離れない。
七瀬くんに覗きだと思われちゃっただろうな。
だって普段3階なんて誰も近付かないし…。


ふとバルコニーに出てみると、夕方は夕日が綺麗だったけど今は満月が出ていて、それもまた綺麗だ。


「今日、何しに来たの」


隣のバルコニーを仕切っている壁から声がした。
この声の主は間違いなく七瀬くんだ。


「えっ…と、夕日が綺麗だったから、図書室に行けば近くで見れると思って」


「ふーん、でも残念だったね、見れなくて」


あの女の人は誰なの?どういう関係なの?何で一緒にいたの?どうして…七瀬くんに抱きついてたの?聞きたいことがいっぱいあるのに、声が出ない。


「あの人、彼女でもなんでもないから」


私が聞く前に、七瀬くんがそう言った。
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