碧色の恋。
今日の夕日はなんだかいつもより綺麗に見える気がする。
3階の図書室に行けばより近くで見えるかもしれない。
階段を駆け上がり、図書室に向かおうとした時だった。
「…碧くんっ」
手前にある空き教室から七瀬くんを呼ぶ声が聞こえた。
見てはいけないと分かっていても、顔が反射的に教室の方を向いてしまう。
「…っ」
お昼休み教室に来たあの黒髪の先輩が、七瀬くんに抱きついている。けど、七瀬くんは嫌そうな顔をしている。
「あっ…」
ふと七瀬くんがこっちを向いたため目が合ってしまった。
やばい、どうしよう。覗きだと思われちゃう。私は図書室に向かうことなく、階段を駆け下りた。
教室に自分のスクールバッグを取りに行き、そのまま家へと向かった。