碧色の恋。


「連絡待ってます、とだけ書いてあったよ」


そう、これは紛れもない事実。
細く綺麗な字でそう書いてあった。


「やっぱり意味わかんないなーあの人。」


「そうだね」


七瀬くん、椿先輩とはどういう関係なの?
どうして七瀬くんからの連絡待ってるの?


どれだけ考えたってその答えが分かるはずもないのに──






今日はいつもより帰るのが遅くなった。
正確に言えば先生にパシリにされた挙句いつも通ってる道が工事中で遠回りしなきゃ帰れなかったからだ。


マンションのエントランスに人影が見えた。


「…あ」


あれは七瀬くんと椿先輩だ。
椿先輩の方が七瀬くんに何かを言っているような感じ。


こういう時に限って七瀬くんと目が合ってしまう。
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