碧色の恋。
七瀬くんは私を抱き締めたまま、何も言わない。
それでも私の体は熱くなる一方だ。
「……なな…」
「碧」
「えっ」
「呼べよ、名前で」
ゆっくりと七瀬くんの体が離れる。
それが少し寂しいと思ってしまう。
「……あお……」
「七瀬クン抜け駆けは許せませんなあ」
ドアの向こうから、颯ちゃんの声がした。起きたようだ。
とりあえず私は部屋の電気を付けて、ドアを開けた。
「暑くて起きたら誰もいなくてさ〜焦ったよ」
ニコッと颯ちゃんは笑うけど、目が笑ってない。
怒ってる……のかな?分からないけど。
「わ、私お風呂入ってくる……!」
何となく気まずくてお風呂に逃げてしまった。