ハージェント家の天使

幸福と信頼の石

 モニカが目を覚ますと、いつもより早い時間であった。
「マキウス様……?」
 モニカが身体を起こすが、マキウスはどこにもいなかった。
 けれども、ベッド脇がとても温かかった。
 まるで、先程まで誰かが居たかのように。
 モニカはベッドから降りると、ガウンを羽織って部屋を出たのだった。

「マキウス様?」
 控えめに声を掛けると、モニカはマキウスが使っている寝室の扉を開けた。
 まだ日が昇ったばかりの、やや暗い部屋の中には誰も居なかった。
 その代わりに、ベッドが膨らんでいた。
 モニカが足音を忍ばせて、ベッドにそっと近づくと、そこにはいつもの姿のマキウスが眠っていたのだった。
 モニカはホッと安心すると、静かに立ち去ろうとした。
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