その呪いは、苦しみだけではなく。
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『こんな場所に花束置いたって、居るわけねえじゃんって事』
『ーー何を言ってるの?』
『此処にはもう一欠片もいねえのに、毎月毎月、花束置いてあってさ。すげえ苛々した。馬鹿じゃねえのって。なんでーー俺は』
少年は涙を流していた。
自分でもどうして苛々しているのか、悲しいのか、怒っているのか分かっていない。
何も分かっていない。
何も覚えていなかったんだ。
輪廻転生なんて信じない。前世の記憶を持って生まれる筈なんてない。
もし生まれたとしても、声も姿も違っている彼は、亮くんではない。
だから呪いの言葉が、彼には無関係だ。
『俺が死んでも、忘れないで』
私は頷く。当たり前だから。
『俺以外を、一生好きにならないで』
もう一度頷く。
『俺だけを好きでいて』
それは呪いの言葉だ。
死にゆく間際、彼には私の言葉が最期まで届いていたと、誠弥くんは言う。
だったら私が言った言葉は、彼に呪いをかけてくれただろうか。
『 』