解けない愛鎖




サエと別れて電車を降りたあと、あたしはカバンからスマホを取り出した。

メッセージが一件届いていて、それはもちろん婚約者の彼からだ。


『楽しんでる?飲み過ぎないようにね。家に着いて、疲れてなかったら連絡ちょうだい』

あたしを気遣ってくれる彼からのメッセージに、心が和む。


『家に着いてお風呂に入ったら電話する』

自宅マンションに向かって歩きながらメッセージを返すと、数分遅れで彼からメッセージが届いた。


『待ってる。帰り道、気を付けて』

それに何度か目を通しながら、あたしはひとり頬を緩める。

婚約者の彼は、あたしが務める職場の取引先の人だった。

総務として来訪者の取り次ぎも担当しているあたしが、営業担当としてうちの会社を訪れた彼と出会ったのは、一年ほど前のことだ。

いつもセンスのいいスーツに身を包み、磨かれた靴を履いている彼は、清潔感があり、初対面から印象のいい営業マンで。

事務的に社内へ取り次ぐだけのあたしにも、いつもにこやかに一言二言、話しかけてくれていた。


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