解けない愛鎖
そんな彼とランチタイムのオフィス街で偶然出会ったのは、ヒロキとの関係を絶って二ヶ月が過ぎた頃だったと思う。
オフィスの近くの和食レストランの前でメニューを見ていると、彼に後ろから肩を叩かれたのだ。
「今からお昼ですか?僕もちょうど営業回りで近くにきてて、今からなんです。よかったら、ご一緒しませんか?」
会社の取引先の営業マンはいえ、顔と名字しか知らない人だ。下手したらナンパにも捉えられかねないのに、彼の清潔感のある爽やかな笑顔が、あたしに違和感も警戒心も感じさせなかった。
一緒に食事をしたら、意外にも話が合って楽しくて。別れ際に、自然な流れでSNSのIDを交換していた。
あとで聞いたら、彼は職場で初めて会ったときから、あたしのことが気になっていたらしい。
「あんなふうに外で女の子に声をかけたのなんて初めてだったし、リナじゃなければ声をかけなかったと思う。実は100パーセント下心だったから、リナの連絡先聞けたときは心臓バクバクしてたんだよ」
彼が恥ずかしそうに教えてくれたときは、思わず笑ってしまった。そんなふうには全く見えなかったからだ。