路地裏の唄


「マスターをなくした携帯は基本的に心理設定の規範がいないから自立機関がイカレてただの人形になる。

長期におけるマスターレスは完全な白髪と朱い瞳がその証拠だ」

「ケータイは髪も瞳もマスターによって自動で決まるからのぉ」



「リペアしてるんですか?」



見ている間にも緋奈咫は着々とそのツールの損傷部位を治していく。



「マスターが承諾してくれてよかった」



どうやら彼をリペアするのは緋奈咫の希望らしい。



「これでイカレてる自立機関をリペアしてマスターを設定し直せばこいつはツールじゃなくなる」




未だバインダーから顔を上げずに現樂が言った。

なるほどなぁ〜と呟く原十郎の横で律は壊れたケータイの赤のラインが走る黒装束を眺めていた。




















「シャチョーもしかしてこの子この前言うてはった新人はん?」
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