王女ちゃんの執事4『ほ・eye』王女さんの、ひとみ。
「いても巻きこまれてただろ、なんて思ったらいけませんよ。王女さま、聞いてらっしゃると思うので」
 ――――は?
 思わずぶんぶん周囲を見回したおれに見せる町田の苦笑。
「どうせ見えないくせに」
 失敬な。
「これにこりたら二度と王女さまを無視するようなことはしないでくださいね」
「別にこりてねぇし。おれの勝手だし」
 女の実力行使に負けて言いなりなんて、まっぴらだ。
「加藤さん!」いつになく辛らつな町田も引く気はないようだ。
「お仕置きがその程度ですんでいるうちに、まずはあの女性とお近づきになる方法を考えましょう。王女さまが帰ってこないなら、こちらからお迎えに行かないと」
「…………」
「…………」
「…………」
 なんでおれが。
 どうしておれが。
 さわれもしねえ女のためにっ。
 おれがむすっと考えていることは、こちらを見もしないのに町田にはお見通し。
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