王女ちゃんの執事4『ほ・eye』王女さんの、ひとみ。
「ふてくされてる場合ですか。死活問題ですよ」
「…………」
 不感症のおれに()れて、きっと、虎を助けるために王女さんが見つけてきた男。
 どれほど感謝しても足りないと、おれだって思ってる。
 でも。
「もうちっと、かわいげのあるやつ、いなかったのか」
 つぶやいたら町田が小さく手を振った。
「仕方ない。やっぱり真央ちゃんだ」
「はぁぁぁぁぁあ?」
 そりゃ声も出る。
 15歳の中学生に30おばさんをナンパさせるのか?
 そんなのどう考えたって無理。
 親子だって通る年齢差じゃん。
「じゃあ、加藤さんがあのひとと友だちなれますか? あのひとを気にいったのは王女様で加藤さんじゃないでしょ。加藤さんは好きなひとがいるんだから、よっぽどうまく立ち回らないと、ややこしくなっちゃいますよ」
 好きなひと? おれに?
 ああ、な。
 そういや、いたな、むかしはな。
 カノジョってやつに夢を抱いてる男がな。
 短めの黒髪に卵型のちっちゃな顔。
 短い爪にほっそり系の小柄な子。

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