王女ちゃんの執事4『ほ・eye』王女さんの、ひとみ。
「兄ちゃん、これならギプスしてても履けると思うんだけど。どうかな」
 虎が手を突っこむエコバッグは、色こそ薄緑で地味だけど、近くで見れば模様に見えたのは動物の顔。
 おれにはわからん萌えキャラグッズらしい。
 そんな意匠のものを堂々と持てるようになったなんて。
 強くなったな、と涙ぐみそうなファンシーワールドから出されたシャワーサンダルが、目の前にかざされる。
 青白ツートン。
 パチモンならまだ、おれの許容範囲だ。
 ほっとしたのは許してくれ。
 虎がすとんとおれの前にしゃがんだ。
「すぐ履くからって言って、レジで値札取ってもらったからね」
 シンデレラにガラスの靴を履かせる王子のような、キラキラと輝く瞳。
 短めの黒髪に卵型のちっちゃい顔。
 短い爪にほっそり系の小柄な子。

 ――ん? 
 リピートアフタミー。

 短めの黒髪に卵型のちっちゃい顔。
 短い爪にほっそり系の小柄な子。
「ぅわっ」
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