王女ちゃんの執事4『ほ・eye』王女さんの、ひとみ。
「ココ! …ココォ!」
 フェンスにすがりついて平泉さんが泣いている。
 おれにはかける言葉もないけれど、きっと平泉さんのココはもういない。
 それだけはわかるから。
「ココって……」
 飼っている、なのか、いた、なのか。
「平泉さんの……犬?」
 結局ぼかして聞いたみたことに、平泉さんが、うんうん首を振る。
「そっか……。あいつら、犬ころみたいに町田と遊んでるもんな」
「ぅわ――ん」
「…………」
 子どもみたいに泣かれて身体は硬直するけど。
 これで方針は定まった。
「あの子らにはちゃんと、見つけますから。平泉さんくらい、かわいがってくれるやつ。おれがちゃんと見つけます。だから平泉さんはココのことだけ、思っててあげればいい」
「か…と、くん――…」
 おれの胸に頭をつけて、また子どものように声をあげて泣きだしたひとをどうしたらいいかわからなくて。
 おれの腕は空中でフリーズ。
 町田は両腕を胸の前でクロスしてみせている。
 おまけに満面の笑み。
 本当にいやなやつ。
 だったらおまえが抱いてみろ。
 40歳だぞ、おばさんだぞっ。
「…………」
 でも胸から腕から伝わってくるだれかの悲しみは、15歳の虎も、40歳の平泉さんも変わらない。
 少なくともおれには。
「…………」
 そっと抱きしめたら嗚咽が激しくなったのは、oh! ジーザス。


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※超蛇足
今や40歳はお姉さん。
皆さんきれいなので
わたしはそのあたりからもう
女性の年齢がわかりません。
ただ、
加藤は高校生なので
制服を着てなきゃ「おばさん」
クソガキです(笑)
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