パラダイス、虹を見て。
 ヒサメさんは、「うん?」と言ったので。私も「え?」と聞き返す。
「私、今。何ていいました?」
「好きです…って聞こえたけど」
 ヒサメさんが言うと。
 私は「ぎゃー」と悲鳴をあげてベッドの上に立ち上がった。
 ベッドがギシリと嫌な音をたてる。
 ヒサメさんは黙って私を見ている。
 その視線に耐えられない。
「ごめんなさい。ごめんなさい、ごめんなさいしか言えないです」
 大声で叫ぶと。
 もう逃げてしまえとベッドから離れようとするけど。
 がっちりとヒサメさんに腕を掴まれてしまった。
「混乱しているところ悪いけど。貴女、病人ということをお忘れなく」
「いえ、もう病気は治りました。頭がおかしいようなので外を走ってきます」
 えへへと笑ってみせたが、ヒサメさんは腕を離してはくれず。
 それどころか、乱暴に腕を引っ張ってベッドへと引き戻した。
「ちゃんと寝ていろ」
「…はい」
 これで私はもう終わったなと覚悟を決める。
 はあ…と盛大にため息をつくと。
 何だか、どうでも良くなってきた。
「こうなったら、思いっきり振ってください」
「…好きっていうのは、俺のことが好きって言う意味でいいわけ?」
 この期に及んで、何を言い出すのだろうか。
 もしかして、ごまかせるチャンスを与えてくれるのだろうか。
「あの」と言い出すと、ヒサメさんは「あー」とため息をついた。
「振ることはないよ。俺も好きなんだから」
「…へ?」
 ヒサメさんの言葉に固まる。
「え、夢?」
「夢じゃない」
 ヒサメさんは私の後頭部を力いっぱい押したかと思うと。
 触れるだけのキスをしてきた。
「な、現実だろ?」
 こんなことって、ある!?



おわり・・・?
< 130 / 130 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

色褪せて、着色して。~黒薔薇編~

総文字数/8,186

ファンタジー15ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
【マヒル】 主人公。 金髪碧眼で美人。 ワケあって、王家の領地で暮らしている。 肩書は国王の寵姫で、ピアニスト。 【太陽】 マヒルの夫。 国家騎士団に所属。 仕事が忙しく、ほとんど家には帰らない。 マヒルとも、あまり顔を見合わせない。 【バニラ】 マヒルの侍女。 ピンク色の髪の毛に真っ赤な瞳。 家事を完璧にこなし、誰とでも仲良くなれる。
色褪せて、着色して。~番外編~

総文字数/30,936

ファンタジー49ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
【スズメ】 国家騎士団頭脳班経理担当の騎士。 正義感が強く、曲がったことが嫌い。 自分がこうだと思ったら、猪突猛進。 【デイ】 国家騎士団肉体班シノビの騎士。 国王直属の部下。 【ナズナ】 秘密の館で働くお手伝いの少年。 騎士を目指していたが、ある理由で断念しまった。 お手伝いの少年達の中ではリーダー的存在。 みんなのまとめ役。賢い。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop