パラダイス、虹を見て。
 畑へ戻ると、アラレさんがハーブを収穫していた。
 香草が好きだというユキさんのために作ったハーブだ。
 アラレさんに「戻りました」と伝える。
 アラレさんは手を止めて「おかえり」と言って微笑む。

「アラレさん。サクラは、男なんですか?」
 私以外の皆はサクラと面識がある。
 …知っていたんだ。
 だから、モヤさんは「大丈夫」と言ったのだろう。

 アラレさんは収穫したハーブをハイッとザルごと渡してくる。
「やっぱり、男の姿になってたから、来なかったのかあ」
「やっぱりって…?」
「サクラは、性別が変わる特殊な子なの。本人は女なのに、男の身体になることを受け入れることが出来ないみたい」
「アラレさんは、サクラのこと昔から知ってるんですか?」
 首を傾げると。
 アラレさんは人差し指を唇に沿えるようなポーズを取る。
「サクラは有名人だからね」
 それ以上は、教えてもらえなかった。
 何か事情があるんだろうなと思って。
 サクラのことを聴くのはヤメた。
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