パラダイス、虹を見て。
 驚く間もなく。
 ユキさんは部屋を出て行ってしまった。
 やっぱり、相談する相手を間違えたのだろうかと思っていると。
「おまたせ」
 と、ユキさんとサクラが入ってきた。
「本当に連れてきてどうするんですか!?」
 ユキさんに向かって叫ぶ。
「いい? 今から、お互い一つずつ秘密を話すってことで。語り合いなさいな。じゃ、おやすみ」
 ユキさんは手を振って出て行ってしまった。

 一気に部屋が静まり返る。
 サクラの視線が怖い。
「とりあえず、冷えるでしょうからベッドへどうぞ」
 と言って、隣にくるように言うと。
 サクラは迷いもなく隣に座った。
 肩がぶつかったけど、サクラの肩はひんやりとしていた。
「ごめん、寝てたよね」
「…いえ」
 薄暗い中でも、
 絶対にサクラの顔色は悪いのだろうというのが見てとれる。
 うつろな目。
「ユキさんは、ああいうふうに言っていたけど。別に話したくないなら話さなくていいから」
「…はい」
 サクラの声に違和感を感じながら。
 どうして、素直にユキさんの言うことを聴いているのだろうと思った。

 再び訪れた沈黙が耐え切れない。
 外は風が強いのか、時折、窓がかたかたと揺れる。
「あ、あのね。サクラちゃん。私は今、22歳です。ヒョウさんの妹です」
「…知ってます」
 冷静に言われると、緊張がふつふつと湧き上がってくる。
 サクラの綺麗な横顔を見ながら。
「えっとね…そうね。秘密だよね」
「私は、サクラ。今年17歳。妹がいました」
「…いま…した?」
 過去形に、ごくりと唾を飲み込む。
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