カラフル☆デイズ

千紗と一緒に書道室に駆け込むと、セーフを祝う様にぴったりのタイミングで5時間目開始のチャイムが鳴り響いた。


「なんとか間に合ったね」


上靴を脱いで、畳の部屋へと足を踏み入れる。


私と千紗以外の人たちは皆、既に席に着いて習字道具を広げていた。


「まひる、なかなか戻ってこないから心配しちゃった。静夜先輩いなかったの?」


「あー、うん」


千紗に曖昧な返事をしながら、いつもと同じ自分の席へと向かう。


そう言えば、あの先輩の名前を聞くのを忘れちゃった……。


無愛想な先輩を思い出しながら、その人に借りた道具一式を広げると、中には一枚の半紙が挟まっていた。


草書体みたいな字体の漢字が、均一の間隔をあけて綺麗に並んでいる。


あの人、性格は癖がありそうなのに、癖のない字を書くんだ……。


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